阿波の局の屋根裏部屋

阿波の局が書き散らしてきた駄作品をかき集めた書庫。 初めての方は 「ごあいさつ」からどうぞ。 こちらに収納されていない作品は阿波の局のブログhttp://blog.goo.ne.jp/awa1993または阿波の局の隠れ家http://blog.livedoor.jp/awanotubone/にございます。

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パク・ハ 5

それぞれの時 現代(いま)

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ガクが消えていく・・・優しい微笑をたたえながら・・・

大丈夫だよというように・・・

待って・・・まだ・・・さよならも言ってない・・・

心地よい風が吹き抜け頬をなでていく・・・パク・ハや・・・愛している・・・ガクの最後の声が聞こえた気がした・・・

・・・行かないで・・・



ああ・・・また同じ夢を・・・

自分の手で涙をぬぐう。

泣き虫パク・ハ。しっかりしろ。

自分で頭をこつんと小突く・・・。

世子様は笑ってたじゃない。うなずきながら・・・

こんなに泣いてばかりいちゃ、心配で化けて出てくるよ・・・。

出てきてもいいんだけど・・・怖くないから・・・

出てくればいいのに・・・たまには・・・あんぽんたん・・・

また涙が出た・・・

だめだな・・・まだこんなにガクが恋しい・・・

いつになったら吹っ切れるんだろう・・・


ガク・・・あなたはもう大丈夫?

私に手紙をくれた後、元気になったのかしら?

あの時はあなたも泣いていたんでしょう?


朝鮮時代に帰って、あなたは幸せだったのかしら?

歴史の本には、ピングンを失った後妃を迎えなかったとしか書いていないのよ。

一人じゃ何もできないんだから・・・

きっと、三人組がついているからあなたを守ってくれたと思うけれど。


愛せる人には回り逢えた?

私と別れて泣いてばかりいないわよね・・・

本当は、淋しがりやなの・・・知っているんだから・・・

あの、現れたときの時代劇みたいな服を着ていても、ネックレスをしてくれているかしら?


している・・・?

そうか・・・違うか。していた・・・ね。

あなたの時間はもう終わっているのよ・・・ね。



ふと窓の方をみると、薄くカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。

いつの間にか夜が明けたんだわ・・・

パク・ハは窓を開け、朝のすがすがしい空気を吸い込んだ。



ガク・・・あなたは幸せだった?自分の時代で、自分の時間を精一杯生きられた?



イ・ガクという人物はもう存在しない。私の記憶の中にだけいる・・・。



あなたは、イ・ガクとしての生を終えて、眠りについて・・・ヨン・テヨンとしてここにまた来たの?


私に逢うために?

それが・・・あなたの望み?


あなたは、私ではない別の人と別の幸せを育んだかもしれない。

でも・・・眼を閉じるとき、また私に、パク・ハに逢いたいと思ってくれた・・・そう思っても、いい?


もし・・・テヨンさんが私を見つけて、逢いに来てくれたら・・・彼の手を取ってもいいですか・・・?


一陣の風が吹いて、パク・ハを包んで通り過ぎていった。

ヨン・テヨン 4

それぞれの時 現代(いま)

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公園のベンチに座り、テヨンはさっき買ったジュースを飲んでいた。

かわいい娘だったな…

ずいぶん沈んだ顔をしていたけれど…笑顔が似合うのに

どこかで会ったことがあるような気もするんだが…どこだったか…

思い出そうとすると、頭の中に霧がかかったようになって、その記憶がどうしても手繰り寄せられない。

ふぅとため息をつくと、視界の端に映るものがあった。


蝶?こんな季節に?

訝しく思いながらも手を伸ばした。

捕まえられそうなのに届かない。


ああ、前にも確かこんなことが…

綺麗な黄色い蝶を目で追っていたら、果物売りの娘の肩に留まって…


テヨンはその映像を思い出そうと目を細めた。


…蝶を見て笑っていた。

髪を結んで…かわいくて…

思わず鉛筆を走らせた…


その時、ぼやけていた顔の像がはっきりと結ばれた。

あの…娘だ…

さっきの…

僕はあの娘を探していたんだ。

やっぱり近くにいた。思った通りだ。

テヨンはカバンを探ってポストカードを探した。

あの時と同じように、彼女の姿を描いた。

これできっと僕だとわかってくれるはずだ。

不思議なことに、待っていてくれるはずだ、という思いになんの疑いも持たなかった。


テヨンは、まだ、彼女がパク・ハという名前であることも知らなかった。

パク・ハ 4

それぞれの時 現代(いま)

「アップルジュース一つ」…

「あの、アップルジュースを一つ」

「あ、申し訳ありません」パク・ハは珍しいことに、客の顔も見ずに黙々と作業した。

「お待たせしました」

あの日から、心ここに有らずだった。


私は・・・テヨンさんに会いたいんだろうか…

会いたくないんだろうか…

同じことをいったりきたり。

自分の気持ちが分からなかった…


2年前、NYでは、会いたいと思った。

名前も顔もわからない、どこの誰だかもわからないのに、自分ながら不思議だったが。

あんな誘いに乗ったことなどないのに…

会ってみたいと思った。

あんなふうに、真っ直ぐに自分を見てくれる人ってどんな人なんだろうと気になった。

もう、韓国に帰る日が近かったから、これきりになることはわかっていたけれど…

テヨンさんは私そのものを見てくれた…

なんの色眼鏡もなしに…

それが嬉しかった。

でも…


今会っても、私はきっとそうはできない。

テヨンさんの中にガクの面影を探してしまう…

それが怖いの…


ガクだって、私を愛してくれた。

プヨンさんではない私を…

それなのに…

こんな気持ちのまま会ってはいけない。

会えばお互いつらい思いをするだけ…

カテゴリを変更しました。

お知らせ

皆さん、こんばんは。
大変ご無沙汰しておりました。

もう永らく開店休業状態にしておりましたので、このような辺境ブログにお出でになる方もいないとは思いますが…
一応ご挨拶を。

つい先日、ふとイ・ガク様にお会いしたくなり、別宅(隠れ家)を久しぶりに訪問いたしました。
しかし、こちらと違い投稿順に記事が並んでいるもので大変読みづらく探しづらい。
で、自分が読みたいときのためにまた少しづつでも引っ越し作業をせねばと思い立った次第です。

せっかくなので、少々カテゴリをいじって見ました。
少しは探しやすくなるのではと思っています。

胡蝶 2

それぞれの時 朝鮮にて

「胡蝶、世子様より、夕餉が終わったら書の練習をするゆえ、お居間に参るようにとのお言葉じゃ。」

「はい、かしこまりました。」


「胡蝶はいいわね~、世子様直々に色々教えていただけて。うらやましいわ~」

「はい、でも、皆様もこれまで世子様にお教えいただいてこられたのではないのですか?

私にしてくださるように、家臣にお教えになるのがお好きなのでございましょう?・・・」

世子様はご教授が趣味・・・胡蝶はそう思い込んでいた。


「あら、胡蝶は特別よ。

だって、ピングン様がいらっしゃったときは、私たちがお側に寄って親しくお話申し上げることなどできなかったもの。ね~」

「そう、ピングン様はおしとやかな方だったけれど、世子様の側には決して女人を近づけないようになさっていらしたもの。

でも、世子様はあのようにお勉強好きな方でしょう?

ピングン様は余りそちらのほうはお得意ではなかったから、プヨン様をお呼びになってお話し相手になさってたのよね?

プヨン様なら、安心だから・・・。」

「プヨン様って?」

「ピングン様の妹様。

賢い方だったけれど、お顔に傷がおありになって。

何でも、お小さいころに不注意でやけどをなさったとか。

だから、いつも顔に覆いをなさっていたわ。」


(安心って、顔に傷がある女には、手を出さない・・・って事?)

「最近、流行り病で亡くなったそうだけれど。」

「あら~、ご存じないの?

ここだけの話だけれど、実は芙蓉池で亡くなっていたのは、ピングン様じゃなくてプヨン様だったんですってよ。

あれは事故ではなくて、世子様を暗殺しようとした事件だったんですって!」

「ええ~、そうなの~

じゃあ、前左議政様ご夫妻は、ピングン様の死を悲しまれて隠遁なさったって、嘘なのね。」

「ええ、前左議政様が毒を盛ったらしいわ。

そのことにプヨン様が気づかれて、世子様を助けようとお身代わりになったんですって。

でも、自分が死んでしまったら、陰謀がばれてしまうでしょ。だから、ピングン様と入れ替わって事故に見せかけたんですって。

前左議政様は、このことを覆い隠そうとなさったんだけれど、世子様が事実を突き止めてしまわれて・・・

だから、世子様はプヨン様の気持ちを思われて、いまだに妃をお迎えにならなんだわ・・・きっと。

世子様も、実はプヨン様のことが好きだったのかも・・・ね。」

「じゃあ、前左議政様一族は処刑されてしまったのね。」

「前左議政様とご子息はね。でも、他の者たちは、温情で許されたという話よ。

ファヨン様と母君もどこかで幽閉されているとか。

だから、暗殺事件だったという事実を知らせず、隠遁したという噂を流したんでしょ。

まあ、噂だけれどね。」

「大変!女官長様だわ・・・聞かれた?」

慌ててみんな口をつぐんで食べだした・・・。


「これ、いつまでしゃべっておるのじゃ。

奥での噂話は厳禁じゃぞ。口を慎むように。

食事が終わったならば、それぞれ仕事に戻りなされ。」

「はい。申し訳ございませぬ。」



プヨン様・・・どんな方だったんだろう・・・?

世子様はその方のことを想っていられて・・・私はその方のお身代わり・・・?

自分のことを少しは女人として見てくれているのかもしれない、という淡い期待を抱いたことが恥ずかしく思えた。

バカみたい・・・

何を勘違いしているのよ・・・

今朝、世子様がいつもと違うように思われたのは、ただの思い込みだったのだと思った。


「胡蝶でございます。遅くなりまして、申し訳ございません。」

「ん、入れ。」

イ・ガクはすでに何か書いていたらしく、顔も上げずに胡蝶を招じ入れた。


静に筆を運ぶ姿は、いつもどおりのイ・ガクと変わらなかった。

「失礼いたします。」

「手本はそこにある。書いてみよ。

漢詩、と思ったのだが、この間の文の文字が余りに拙かったのでな・・・。」

「申し訳ございません。」胡蝶はうなだれた。

一生懸命書いた文だったのに・・・世子様にとって、私はやっぱりただの幼い子供・・・


書・・・と聞いて弾んでいた気持ちはぺしゃんこになってしまった。

胡蝶は、ことさら書が好きでも得意でもなかった。

でも、書の練習ならば・・・イ・ガクを見ることができるから、嬉しかった。

他の勉強のときに、ぼうっと顔を眺めることなどできはしなかったが、書ならば、手本を書いているときや、胡蝶の書いたものに朱を入れているときなどは遠慮なく見ることができる。

胡蝶は、イ・ガクの筆を持つ大きい手が好きだった。

世子様の指はとても綺麗・・・

ちらりと顔も盗み見たり・・・

そして、時には直接手にとって教えてくれるときもあった。

イ・ガクの手はとても大きくて、・・・頭の上から声を掛けられると、どきどきした。

近くに来ると、いい香りがほんのりとして心地よかった。

亡くなったお父様の匂いに似ている・・・気がした。


なのに・・・今日は「もう一度。」「もう一度・・・」とおっしゃるのみで、書いたものに朱も入れてくださらず・・・

胡蝶は、黙々と書くしかなかった。

これじゃ、お手さえ見られやしない・・・もう・・・

世子様の、バカ・・・胡蝶は心の中で毒づいた。


でも・・・???なにやら、変。胡蝶は視線を感じた。

世子様が、私を見てる?そんなわけが・・・

いつも、私の書くものをじっと見ていらっしゃるもの・・・


見てはいけないと思いながらも、書き終わったとき、恐る恐る眼を上げてみると・・・

目が合ってしまった・・・

お仕置き


「も、申し訳ございません。」

慌てて筆を置いて、胡蝶は平伏した。


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